海外Q&Aサイトの「アメリカはネイティブアメリカンから土地を盗んだの?」という質問から、回答をご紹介。


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■回答者1(アメリカ)
基本的には、おおむねその通りだ。しかし答えはそれほど単純ではない。非常に複雑だ。まずこれは「アメリカ」という言葉で誰または何を指すか、そして「ネイティブアメリカン」という言葉で誰を指すかによる。次に「所有権」という概念、および、不動産つまり土地の法的・道徳的・倫理的な移転をどう捉えるかによる。

土地の接収を示すものの一つが、インディアン居留地の概念だ。米国では土着の人々が居住しているが、カナダとメキシコには米国にあるようなインディアン居留地に近いものはない。カナダとメキシコの土着民もヨーロッパの移民に奪われるまでは確かに土地を持っていたのだろうが、米国と違って通常はその土地から遠く離れた居留地に移住させられることはなかった。

最も言語道断な行為は ― 多々あるとは言え ―、ジャクソン大統領時代の1830年のインディアン移住法だ。この民族浄化の運動で、「文明化五部族」が南東部の故郷から連れ出され、今のオクラホマに移住させられた。涙の道 - Wikipedia

その後多くの場合は戦闘を経て、ネイティブの諸部族は故郷の広大な土地を、小さな独立した居留地と引き換えに明け渡した。こうした条約の多くは強制のもとで調印され、通常ネイティブにとって大幅に不利なものだった。

インディアンの移住はその後1832年のブラック・ホーク戦争でも起こった。条約により、もとはソーク&フォックス族等のネイティブのものだった数百万エーカーの土地が中西部の開拓者に明け渡された。このインディアンたちは他の居留地に移住させられ、1世紀後、私はかつてこれらの部族が「所有」していた農地で育った。



■回答者2(アメリカ)
この質問は多くのレベルで問題を含んでいる。第1に、アメリカとはアメリカ合衆国を短縮した言葉だ。多くのヨーロッパ国民が、南北アメリカに植民地を建設しようとしていた(成功したものもそうでないものいる)。ネイティブが入植者の国に負けて土地を失い始めたのは、アメリカ合衆国建国の1世紀半前だ。

また「盗む」というのは、先住民の所有権を奪取する過程を説明するには余りに単純化しすぎだろう。土地は売買によって手に入れることもあったし、戦闘や条約、詐欺、官僚的な占拠、威圧/強制等々により失われることもあった。中には土地の窃盗もあった。しかし理屈としては、入植者とアメリカ人が手に入れた全ての土地が盗んだものだったわけではない。

とは言え、関連する話題として:

多くは保守的な白人アメリカ人男性が、その対極にあるものについて、文化的な初期値としてある種の見方をしているのをよく目にする ― つまり、ネイティブの部族には「正当な所有権」が一切なかったという立場を取るんだ。何世代にも渡る植民地化と支配の努力を合理化しようとしてきた、「勝てば官軍」の標準的な考え方だ。これは深い文化的遺産と、凝り固まった社会的条件を反映している。本質的には、南北アメリカにおける(ヨーロッパ人の)「ディスカバリー・ドクトリン」の正当化の伝統だ。

彼らが作り上げた現実だが、ネイティブの立場とは著しい対象をなしている。

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「この戦争はわれらの土地で生じたものではない、この戦争は『偉大な父』の子供らが持ち込んだものだ。『偉大な父』はわれらの土地をただで奪いに来て、そしてわれらの土地で多くの悪事を働いた・・・この戦争は強奪に由来する ― われらの土地を盗むことに。」

― スポッティド・テール(ラコタ)

参考:
「ディスカバリー・ドクトリン(発見の法理)とは国際公法の概念である。合衆国最高裁判所の一連の判決により説かれ、その最も著名なものは1823年のジョンソン対マッキントッシュ判決である。ジョン・マーシャル裁判長は、植民地保有国が大航海時代に他の主権国家に属していた土地に対する権利を主張する方法を説明し、適用した。これによると、ある政府の国民がヨーロッパのキリスト教徒の君主の臣民でない居住者のいる地域に旅してこれを占領した場合、その土地の権利は当該政府に帰属する。この法理は主に、帝国主義およびポスト帝国主義政府に有利な形で、先住民の土地所有権を無効化し無視する判決を支持するのに使われた。」
ディスカバリー・ドクトリン - Wikipedia(英語)

シンテ・グレシカまたはスポッティド・テールは、ラコタ(スー族)の酋長。
スポッティド・テール - Wikipedia(英語)



■回答者3(アメリカ)
実際のネイティブアメリカンだ。

答えはイエス。

ネイティブがイングランドと結んだ条約を米国が強制的に破棄したこと、米国があらゆる部族との間の条約を破棄したこと、ジャクソン大統領が合衆国最高裁判所を無視して、再交渉が行われていた土地から無数のネイティブを強制的に排除したこと、マニフェスト・デスティニー、米国政府が殺害や天然痘を植え付けた毛布でネイティブの人口を減らそうとして、その頭皮に懸賞金を払っていたこと、等々について詳細に語っても良いのだが、とはいえ他の誰が何と言おうと、答えはイエスだ。否定論者も自分の身に起これば盗んだと言うんだろうから、偽善は勘弁してくれ。

質問ありがとう。続けてくれ。

参考:
「マニフェスト・デスティニー(英語: Manifest Destiny)とは、元々はアメリカ合衆国の西部開拓を正当化する標語であった。「明白なる使命」や「明白なる運命」、「明白なる大命」などと訳出される。「文明は、古代ギリシア・ローマからイギリスへ移動し、そして大西洋を渡ってアメリカ大陸へと移り、さらに西に向かいアジア大陸へと地球を一周する」という、いわゆる「文明の西漸説」に基づいたアメリカ的文明観である[1]。」
マニフェスト・デスティニー - Wikipedia

「今日でも知られている出来事としては、ピット砦のイギリス軍士官が天然痘の菌に汚染された毛布を贈り物にし、周辺のインディアンにこれを感染させたことである。」
ポンティアック戦争 - Wikipedia



翻訳元:Quora



奥歯にものの挟まったような回答が多い印象でした。



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