海外Q&Aサイトの「日本の大雨と洪水(2018年7月)はなぜあんな致命的なものになったの?」という質問から、回答をご紹介。


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■回答者1(アメリカ)
地質学、地理学、土木工学。

地質学的に言うと、日本は山が多く、かつその山は硬い石や、大きめの砕石すらごくわずかだ。山の多くは砂利と泥だ。上に乗って登れる程度には固いが、雨が降ると崩れる程度には脆い。

地理学的に言うと、大洪水を被った地域は通常あれほど多量の雨には晒されない。日本には地域によって、梅雨でもスコールやにわか雨程度で、年間を通じて恐らく計50cm程度しか降らないところもある。逆に降雨量が数メートルに達するところもある。この違いは重要だ。私の住んでいる地域のように来る日も来る日も豪雨が続くところでは、梅雨という概念はジョークだ。

上記が組み合わさると土木工学の問題になる。多くの土地ではスペースのあるところに建物を建てる。そのスペースが河川のすぐ隣ということもある。かつては氾濫原だったが今では流れの緩い川があるだけの、古く平坦な流域であることも多い。こうした地域で雨も少なければ、洪水に備えることはしない。めったにない機会に備えるのは後で建て直すよりも高くつく。しかし普段から激しい雨の降る土地は? 川に沿って段を作り、街路も調整し、よく管理された排水システムに投資する。数ヶ月ごとに建て直すよりはましだ。

代わりに熱について考えてみれば分かる。スイス、アラスカ、カナダ、スウェーデンといった土地では、標高や緯度のため、夏は比較的気温が低く穏やかだ。都市計画、住宅の設計、着るものもこれを反映している。もしこうした土地にタイやオーストラリア北部、メキシコの夏が来たらどうなるか。熱中症が急増し、水不足の恐れが生じ、家は息詰まるほど暑くて耐えられなくなり、電気代は急激に上がるだろう。要点は、人は予期していることには備えるが、予期しないことが起こってそれを台無しにする、という事だ。



■回答者2(フランス)
間違っているかも知れないけれど、あなたの質問は「なぜ人が亡くなったか」という意味で理解した。私もSNSのフィードと地元のTVの記事や動画に接していなかったら、同じ疑問を抱いたと思う。

梅雨の1ヶ月間以上の量の雨が1日で西日本に降った。私はその日仕事で、デスクは窓の正面にあって広島市の公園が見えた。あんなのは見たことがなくて、クレイジーですごい音だった! 午後になると、特定の地域への避難を呼びかけるアラートが電話で何度も鳴りだした。

午後7時、彼氏が電話してきて、彼が働いているレストランは予約が全部キャンセルになったから閉店すると言うので、私たちは一緒にタクシーで家に帰った。家の背後の通りは膝までの水で、車でも波乗りするほどだった。7時半に、警戒レベルが紫(「特別警報」という最高レベル)になったのを知った。

雨はそんな感じで翌日もずっと降り続けた。

田舎だと、家は山の斜面に建てられている。一度に大量の雨が降ったため、水は屋根にまで達し、山からは泥と岩と木が流れてきた。川は信じられないほど激しく、速くなり、家と車を中にいる人間ごと運んで行った。道路や橋、鉄道、そしてダムを破壊した。川は流れを外れて氾濫した。本当に突然のことで、多くの人はそうなる前に逃げる時間がなかった。

雨がやんで水量が下がっても、こうした孤立した村には道路が損壊しているため行く手立てがなく、まだ生きていた人たちも瓦礫の下で亡くなった。何日もの間、電気も水も食料もない地域もあり、気温は35度(華氏95度)まで上昇したため、お年取りや体の弱い人、病人はその影響を受け、恐らく続く数日中に亡くなった人も多かった。

これが起こったのは1週間前だけど、広島市内でもコンビニとスーパーの棚はまだがら空きよ。芸備線とかいくつかの路線は、修復に1年以上かかる。

広島県で土砂崩れのため住民23万人が供給を断たれる - The Mainichi(英語)
豪雨:51人死亡、76人不明 広島・愛媛で被害拡大 - 毎日新聞
上空から見た豪雨被害=広島 - YouTube







(下の2つの動画は私のiPhoneで撮ったもの、画質が悪いのはごめんなさい)。



■回答者3
1ヶ月に相当する量の雨が1日で降ったんだ!! それに加えて、日本には平地がごく少ない ― 基本的に人は狭い谷あいや海岸沿いに住んでいる ― ということが合わさった。これについては昨日もう少し書いた。

※その回答の翻訳

質問:なぜ日本人は自然災害にもっと良く備えないの?(英語)

回答:
君は南日本を襲った豪雨のことを言っているのだろう ― 100人以上が亡くなった。冥福を祈る。日本はできる限りの備えをしてはいるが、しかしこれが避けがたい現実だ。日本は地震、津波、台風に定期的に襲われている。台風は毎年来るし、しかも日本は非常に山がちで平地はごく少ない。

山のふもとにある家は、毎年突然の土砂崩れで全滅する。なぜそんなところに建てるのか? 選択肢がそれほど多くないんだ。金持ちはもっと安全な土地に建てる余裕があるが、一般人はそうではない。



■回答者4(アメリカ)
日本は非常に山がちで、またその土壌は非常に軟質だ。東京のような谷あいに人口が集中するのはこのためだ。

最大の要因は、今回のは日本のそうした地域では数十年に一度という規模の豪雨だったことだ。自衛隊は毎年できる限りのことをしているが、何百万という人が被害を受けている。

日本:記録的豪雨による死亡者数が増加、首相は「時間との戦い」と警告 | World news | The Guardian(英語)



翻訳元:Quora



亡くなられた方のご冥福をお祈りするとともに、被災者の皆様にお見舞い申し上げます。



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