海外Q&Aサイトの「広島と長崎って人が住んでも安全? だとしたら、なぜチェルノブイリは住めないの?」という質問から、回答をご紹介。


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■回答者1
爆弾による放射線はとっくに散逸して安全レベルになっているので、広島と長崎に住むのはまあ安全だ。爆弾の中の燃料の大部分は実際には核分裂を起こさず、そのため本来可能だったほどの量の放射線は放たれなかった。また爆弾は上空高くで爆発して、放射線の多くは大気中に散逸した。最初の爆風の間にごく少量の放射線が放たれたが、燃料が続けて供給されなかったため減衰した。

チェルノブイリは別の話だ。破局的な失敗を蒙った原子炉だ。原子爆弾よりずっと大量の核燃料があり、それを原子爆弾よりもはるかに効率的に燃やして放射線を作り出すことができた。チェルノブイリはまた地表面で発生したため、ずっと多くの放射線を土壌と地下水に流出させた。

プリピャチ ― 人が住んでいた近隣の都市 ― の放射線レベルはいくぶん低下したものの、チェルノブイリ ― 原子炉自体 ― のレベルは依然として、適切な保護なしには人にとって致命的なレベルに留まっている。いくつかの地域には野生動物が戻り、またプリピャチの中には数人が違法に住んでいる。しかしこの地域は今も、人間が住むにあたっての安全さでは広島と長崎に遠く及ばない。



■回答者2(アメリカ)
一点、きちんと議論されていないのはフォールアウト(※核爆発で地上に降る放射性粒子)だ。

第2次大戦で日本に使われた2つの武器は小型の装置で、空中炸裂するものだった。このため最初に一度強いガンマ線と、爆風と熱による効果を受けるだけだ(2つの土地で見られた破壊は、このうち後の2つの効果の結果だ)。フォールアウトは粒子で、空中炸裂が起こる上空にはフォールアウトになるような固形物がそれほど多く存在しない。したがって日本では、火を消し止め、生存者を救出し、犠牲者を葬り、等々が終わると残留放射線はあまり残らなかった。他の回答者も言っているように、今の放射線レベルはかろうじて正常レベルを上回る程度だ。

一方チェルノブイリは、大きな核爆発による被害は受けなかった。チェルノブイリで起こったのは、技術者が電源停止の状態をテストするためにいくつかの安全装置をオフにした。しかし彼らはチェックリストに従って作業せず、事態は・・・収拾がつかなくなった。原子炉が加熱すると冷却システムの水は水蒸気になり、その結果水蒸気爆発が発生し原子炉格納容器の蓋を吹き飛ばした。原子炉はメルトダウンを続け、原子炉を停止するために使われるべきグラファイトの棒が発火した。激しい熱は強い上昇気流を作り出し、それが核分裂で生み出された物質を9日間にわたって大気中に打ち上げた。もう一度言うが、この事故で9日間のフォールアウトが発生した。卓越風がソ連西方と東ヨーロッパの多くの地域にそれを運んだものの、大部分はチェルノブイリに隣接する地域(例えばプリピャチ)に降った。

参考:
「卓越風(たくえつふう、英語:prevailing wind)とは、ある一地方で、ある特定の期間(季節・年)に吹く、最も頻度が多い風向の風。主風。常風。」
卓越風 - Wikipedia

フォールアウトは、(アルファ粒子とベータ粒子だけでなく)核分裂で生み出される物質の多くを含んでおり、中には半減期の長いものもある。ベラルーシとウクライナには立ち入りが危険な地域が今でもある。



■回答者3(アメリカ)
これらは3つの非常に異なった出来事だ。広島の爆弾(リトルボーイ)は高濃縮ウランを使い、「ピット」には約64kgの塊があった。爆発中に実際に破壊力を生み出したのは、約1kgにすぎなかった。長崎で爆発した爆弾(ファットマン)はプルトニウムを使い、「デーモン・コア」には約6.4kgの塊があり、そのうち爆発中に実際に核分裂したのは約1kgだ。

参考:
「ピットは爆縮型核兵器において核分裂性物質およびそれに取り付けられた中性子反射体またはタンパーからなるコアのことで、桃やアンズの固い種にちなんで名付けられた。」
ピット (核兵器) - Wikipedia

「デーモン・コア(demon core)は、アメリカのロスアラモス研究所で各種の実験に使われた、約14ポンド(6.2kg)の未臨界量のプルトニウムの塊である。事故前はルイス・スローティン博士が「ルーファス」(Rufus)と名付けていたが安全性を度外視した危険な実験や不注意な取り扱いのために1945年と1946年にそれぞれ臨界状態に達してしまう事故を起こし、二人の科学者の命を奪ったことから「デーモン・コア(悪魔のコア)」の悪名がつけられた。」
デーモン・コア - Wikipedia

これらとは対照的に、チェルノブイリの核燃料は低いレベル(約2%)までしか濃縮されていなかったが、塊は20万kgを超える大きさで、そのうち少なくとも5%が爆発と火事の中に放出された。私の読んだある証言では、50トン近くの燃料が蒸発し、それとは別に70トンが周囲の残骸の中へと水平方向に放出された。

ほぼどんなものであれ従来型の原子力発電炉の操業中にはいくらかのプルトニウムが「生まれる」(そしてしばしば、続いて核分裂する)が、その間にどんな、またどれだけのものが放出されるか、正確に言うのは難しい。

しかし以上のことを頭に入れると、この質問がほぼ比較不能なことを聞いている理由は理解しがたい。ほとんどリンゴとオレンジを比較するようなもの・・・あるいはこの場合は、コアとピットを比較するようなものか。



■回答者4(アメリカ)
ニューメキシコ州トリニティでは花が育っている ― 最初の核実験、長崎に落とされたのと本質的には同一の爆弾の実験が行われた地だ。トリニティ以上に長崎を訪れるのを恐れる理由は何もない ― 事実、制限はかけられていない。どちらの土地にも放射性物質が事実上存在しないからだ。

チェルノブイリは大きく異なる。核兵器の爆発があった土地ではない。確かに、誤動作した、設計不備の、ひどい保守状態の原子力発電所のメルトダウンは、原子炉サイトとして考えられる最悪の結果だ。だがそうだとしても、直接的な意味では核爆弾の爆発ほど致命的ではない。しかしチェルノブイリは非常に汚い放射性のゴミを生み出しており、その中には減衰に非常に長い時間がかかるものもある。また浄化は非常に高額で、適切に行うにはロシアの資力を超えている。



翻訳元:Quora



何となく同一視しちゃう人はいるんでしょうね。



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増補 放射線被曝の歴史―アメリカ原爆開発から福島原発事故まで―



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