海外Q&Aサイトの「日本の社会では時間厳守が尊重されているけど、職場や私生活で時間を無駄にしている人をたくさん見かける。日本人は時間を貴重なものだと思っていないの?」という質問から、回答をご紹介。


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■回答者1
日本人にとっても、もちろん時間は貴重だ ― 誰だって時間を無駄にしたくはない。遅刻は非常に失礼で、また無秩序で非生産的なことだと考えられている。

しかし日本では、それより優先される他の要因が働いている。他の回答でもちょっと言及されているが ― 仕事の場面では、職場にいる時間が利益よりも重要な場合があり、もっと大局的には、実質よりも形式に重きが置かれることが多いということだ。さらに、日本人は西洋(特に米国)の人間が買うのよりも小さい(または少ない)ものを喜んで買うが、ただしその品物がほぼ完璧で、あるいは最高品質であることを求める。

ということで回答に取りかかると、上司よりも早く帰宅するのは怠惰でやる気がないと見なされる。そのため一日の終わりになると、(よく見ないと分からないかもしれないが)何も役立つことや仕事に関係したことをしていない人もいる。しかし上司がいなくなると、家に帰る自由が生じる。この点は日本全体にとって、例えば出生率低下の要因となるといった非常に悪い結果を生むものとして指摘されてきた。日本の政府は人々を早く家に帰らせるようメッセージを発したこともあるが、この文化的習慣をやめることは難しい。

第二に、群集心理のため、周りの人たちが帰らずにぶらぶらしていると、そこから出て行くのは悪いことで、集団に従っていないように見える。上司がみんなを飲みに誘ったら、それを毎回断って(これをやると集団の一員ではなく一匹狼のように見られる)、家に帰るのは悪いことに見える。本当は行きたくなくても、リーダーには従って、同僚と一緒に行って泥酔することになる。

すべての企業の文化がこれと同じというわけではないし、結婚が決まったら仕事をやめることになっていて、出世の階段を登る見込みのない「オフィス・レディー」(OL)みたいな人は、退社時間になったらぶらぶらしていることもずっと少ない。

私生活で時間を無駄にすることについては、これははるかに主観的な所見だな。私は中年の男性が少年マンガを読んでいるのを見ると時間の無駄だと思うが、しかし彼がそれでキレずにいられるというなら、健闘を祈りたい。どこかの国でほぼ定期的に見られるように、銃を取り上げて同僚を皆殺しにするよりはずっと良い。

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■回答者2
時間厳守と時間の価値を認めることは、必ずしも関係がない。

日本で時間厳守は尊重されるのは、人々がお互いに対して面倒事を起こさないようにしているからだ。誰にだって自分のスケジュールや、時間をどう過ごすつもりかの漠然とした考えはあるわけで、その計画を台無しにするのは非常に失礼なことと見なされる。日本に限ったことではない。中欧と北欧の大半の国では同じことが見られる。

「貴重なものとしての時間」というのは良い意見だ。私の考えでは、日本には他人の時間を尊重するという規範がない。例えばDoCoMoショップに何か買いに行こうとしたとする。2時間待たされてやっと店員にたどり着くと、非常に礼儀正しく対応してはくれるが、ただし時間については一顧だにしない。これはつまり、携帯を買うためだけに2時間をかけて、その2時間に待ち時間は含まれていないということだ。店員が客の頼むことも頼まないこともやってくれるのだから、非常に良いサービスに見えるだろう。ところが興味深いことに、客の時間は考慮されていない。職場でも同じだ。長い会議や長時間労働といったものは、他人の時間に対する無視の表れだ。時間を貴重な資源と考えないという社会的規範があるわけではないと思う。良いにせよ悪いにせよ、ただの事実だ。



■回答者3(ルーマニア)
西洋の文化と東洋の文化では、時間の見方が違う。

北アメリカ人(米国とカナダ)と西ヨーロッパ人(スイス、ドイツ、ルクセンブルク、オランダ、北欧諸国)は、時間を貴重な資産と見なす。いつも時間が足りなくて、時は金なりだ。こうした国に比べると、お隣のメキシコや、スイスならお隣のイタリアやご近所のスペインは時間の使い方が異なり、そのためさまざまな軋轢も生じる。

例えば米国の時間に対する考え方を見てみるなら、彼らの時間は最も貴重なものだ。彼らの時間は直線的だ。歯医者や弁護士のところに行って過ごす1時間は大変な金額がかかるし、そこで得られるあらゆる利益を完全に活用するために速く移動する必要があって、利益志向の社会になる。今こそ行動に移し、決断を下す時だ。

過去 → 現在 → 未来(過去は過ぎさり、現在は今非常に速く動いていて、未来について心配しないといけない。)

アメリカ人は時間を神聖なものとして扱うが、これはすべての文化に当てはまるわけではない。お金になるわけでもないのにこのサイトを見て時間を無駄にしたことはない? 東洋とアジアの社会では時間は所与のもので、時間を使い果たすということはありえない。時間は循環的だからだ。

意思決定が二つの考え方の間で衝突するのはここだ。アメリカ人は今決定してもらいたがる。今この瞬間に決定しないのは時間の無駄だからだ。アジア人にとって、時間が過ぎることは無駄ではない。決定は長期目標に照らして下すべきものだ。

過去 → 現在 → 未来(過去は現在の意思決定にとっての背景であり、現在の意思決定は長期的な未来に影響する。)

日本人はこの循環的な時間を分割する。

彼らはある事が起こるのにどれだけの時間がかかるかは気にしない。その時間がさまざまな時期や段階にどう割り当てられるかを気にする。

例えば、会議は通常、名刺の交換から始まる。同じ理由で、彼らは結婚式や葬式、宴会を細心の注意を払って分割する。常に自分が今どこにいるかを知っておく必要があるからだ。

日本では、形式と象徴が内容以上に重要だ。このため人は常に質より量に基づいて評価される。

伝統的な大企業が、社員を業績に基づいて昇進させることはめったにないだろう。会社に費やした時間の総量が高く評価されるからだ。

これが日本の終身雇用制度と相まって、彼らは出世の階段を登れば登るほど仕事が少なくなり、ところが部下には多くの負荷をかけ、また効率よく時間を使うことにはルーズになる。

良いニュースは、小規模ないし中規模の、とりわけ若いCEOのいる企業はオープンになってきていて、オフィスで費やした時間ではなく業績に基づいて評価し昇進させるということだ。

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■回答者4(アメリカ)
時間厳守と時間を効率よく使うことは、必ずしも両立しない。

米軍の予備役将校訓練課程にいたとき、「急いで待て」という表現を教わった。命令どおりの時間に到着している必要があって、でないと大変なことになる。やることは何もないかもしれないし、状況が無秩序で割り当てられた仕事を終えるのに必要以上の時間がかかるかもしれないが、とにかく時間どおりに着いておく。そして仕事が終わったら、とっとと帰ったり本や新聞を読み始めたりしてはいけない。解散を待たねばならず、解散までは忙しいふりをするか、少なくとも起きていないといけない。

日本の企業での生活について多くの外国人が馴染みがなく賛成しかねることは、軍隊経験のある人間にとっては、私の場合のようにその経験が限られたものだとしても、まったく馴染み深いことだ。

軍隊の組織は一般に短期的な効率性よりも、長期的な忠誠心と、状況に素早く集団として反応する能力を評価する。日本の企業文化にはこの特徴の多くが見られるし、日本の学問の世界の文化にも一部は見られる。

アメリカ人の多くは、仕事のあらゆる部分を最適化しなければ組織は最大の効率性を発揮しないと考えているようだ。これはテイラー主義、より正確には「科学的管理法」と呼ばれるものだ。

科学的管理法 - Wikipedia(英語)

参考:
「科学的管理法(かがくてきかんりほう、英: Scientific management)とは、フレデリック・テイラーが20世紀初頭に提唱し、ガント、ギルブレスらによって発展した労働者管理の方法論。テイラー・システムとも呼ばれる。現代の経営学、経営管理論や生産管理論の基礎のひとつである。」
科学的管理法 - Wikipedia

しかし機械と同様に人間も、最も良く働くシステムは、あらゆる部品が最高の精度に調整されていたり最大限のポテンシャルで動作していたりはしない。機械のシステムには摩擦を許容する遊びが必要だ。人間のシステムにも同じことが言える。部分は個別にではなく集合的に動作するべきだ。

重要なのは、ある仕事が時間どおりにミスなく行われるということが、何度も何度も繰り返し必要になるということだ。

日本の組織はこれが非常に上手い。もちろん彼らも完璧ではないが、しかし私が付き合っているイギリスの似た組織に比べると非常に上手いし、ミスをしたときにも、イギリスの組織での私の経験に比べると、多くの場合自分で気づく。

英国と日本の社会のどこにつながっているかによって、経験することが人によって異なるのは分かる。

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翻訳元:Quora



「他人の時間を尊重するという規範がない」には同意せざるを得ない。



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