海外Q&Aサイトの「11歳の娘が『黒執事』『東京喰種』『DEATH NOTE』を読みたがっている。こういうマンガのダークファンタジーというジャンルについて心配するべき?」という質問から、回答をご紹介。


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■回答者1
正直言うと、まず自分で読むか少なくとも調べることを勧めるけれど、概要としては以下。

注意:これらのマンガ、特に『黒執事』のネタバレの恐れあり。

他の回答者たちも言っているように、『DEATH NOTE』はこの中で断トツにおとなしい。顔を思い浮かべながらノートに名前を書くことで他人を殺すという能力の話で、人はたくさん死ぬ。

『東京喰種』と『黒執事』は、全体としてレベルが違う。私自身は『東京喰種』はまだ読み終えてないんだけど(『黒執事』に夢中)、どちらも一般的に、大抵の子供には向いていないと思う。

『東京喰種』は性的なテーマ、拷問、死、そして食人がたくさん描かれる。これについては他の回答者がもっと説明してくれているので、私はここまでにしておく。私の意見では、これは大抵の子供には向いていない。

『黒執事』については、この3作品の中で今の私のお気に入りなのでよく知っている。『黒執事』にもダークなテーマはたくさんある。悪魔と契約した子の話で ― 幸せで楽しいタイプのものではない。彼は、(マンガでは後になって登場する、重大なネタバレ)双子の兄ともども、家族を殺されて家を焼かれて、残忍にレイプされて売り飛ばされた。マンガでは最近この事件のフラッシュバックと、悪魔が召喚され契約に至った経緯が描かれている。マンガの初めの方では、彼はPTSDの発作を起こして、檻に閉じ込められた子供が中にいる家を焼き払うように悪魔に命令している。悪魔はこれに従った。私の意見では、これは大抵の子供には向いていない。

つまり、これらの中で2/3のマンガは大抵の子供には向いていない。

自分の子供だったら、多分大きくなるまで ― 少なくとも15歳になるまで ― これらは読ませないことにすると思う。

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これらのマンガを読むことを子供に禁止することにしたのなら、必ず話し合って理由を説明してあげてほしい。それも敬意をもって。でないと、子供たちは理解できなくて、傷つけられたと感じ、あなたに信用されていないと思ってしまう。

これらのマンガを読むことを子供に許すことにしたのなら、作品について子供に話してあげてほしい ― そして、子供が読んでいるものを知って話ができるように、自分でも読んでほしい。これは子供との絆を深める新たな方法というだけでなく、悪い影響を与えないようにできるし、もし子供が作品について疑問を持っていたらそれに回答して、もっとよく理解するのを助けてあげられる。

子供は一人一人違うから、この種のものを読むことに自分で対処できる子もいるかもしれない。結局、自分の子供がこうした作品を読んでもいいか、読むべきかを決めるのは親なのだから、判断はあなたにかかっている。



■回答者2
僕が娘さんの歳の頃に最初に夢中になった作品は『ドラえもん』のマンガだったよ。もっとダークなやつを読むようになったのは高校生になってからで、だからダークでヘビーなテーマが11歳に悪影響を与えるかどうかは何とも言えない。

『東京喰種』を読んだのは大学に入ってからで、もし自分に娘がいたら、少なくとも小さいうちは勧めないな。18歳以上なら考える。すごく生々しいコマがある。生き残るために人間を食う必要のある世界だ。

登場人物は普通の人からサイコパスすれすれの人まで色々。主人公は精神に障害を受ける経験をして、そのため自殺的な傾向が生じている。登場人物のうち数人は、ひどい過去や生い立ちから、この不健全な傾向を持っている。

性的なコンテンツ、食人、拷問、殺人があり、それらが作品を通じて暴力的なテーマを維持している。マンガの第2部『東京喰種:re』にはレイプとセックスの場面が含まれる。

人が眼球を刺されたり、頭を切り落とされたり、真っ二つにされたりする画像や、力や地位を手に入れるために食人や拷問、自傷が奨励されるのを娘さんが見てもいいという人なら、娘さんがこのマンガを読んでもたぶん気にしないだろう。

(僕にとっては、これは素晴らしいマンガだ。作者はそれぞれの登場人物に、その行為と考えを読者に納得させるだけの背景を与え、それによって重層的な人格を与えることを好む。また作中の平和な部分では家族と愛というテーマも示されている。ダークなコンテンツ以外に、この作品はまた社会がマイノリティにどう対処するか、相反する理想を持った者の闘争や反抗といったものも描いている。われわれの社会と世界一般に対する巧みな注釈と見なすことが可能だ。)

長文失礼。

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■回答者3(インド)
『東京喰種』は読んでないし見てないので、これについてはあまり答えられない。

しかし、『DEATH NOTE』と『黒執事』はマンガも読みアニメも見たことがあって、この2つのアニメを見ることが文字通り人生を永遠に形作るということは言える。

なぜなら、僕がそうだったから。

『DEATH NOTE』を初めて読んだ・見たのは12歳のときで、このアニメの登場人物たちの思想は僕に深い影響を与えた。もちろんその感情を言葉で言い表すことはできなかったけど、確実に僕の精神を形作った。

『黒執事』はアクション映画みたいな印象で、だから『DEATH NOTE』ほどの影響は受けなかった。

ここで一番大事なポイントは、娘さんがこれらのアニメやマンガから学ぶ思想は、非常に歪んだものである可能性があるという事実だ。精神状態の違いによって、議論が起こることは間違いない。

『DEATH NOTE』が教えるのは、何が起ころうとも大局的なものの見方を失わなければ必ず問題は解決するということだ。大局から出発して、答えが見つかるまでそれを絞り込んで行く。これをやるには大きな精神的負荷がかかるし、多感な12歳(あるいは、あなたの場合なら11歳)にとっては、問題に取り組む唯一の方法のように思える。

『黒執事』が教えるのは、「目的は手段を正当化する」ということで、これは実際、娘さんの世界観をちょっと歪んだものにする可能性がある。

これはサイコスリラーの最大の問題だ。人を間違いなくペシミストにする。

特にまだ世の中をそれほど知らない若い人にとって、アニメやマンガは外の世界への唯一の窓になる。彼らは子供たちが普段見ている虹でいっぱいの綿菓子の世界よりも、ダークで本物の世界を目にする。

だから最終的には、親としてあなたが決めることだ。

心から勧めたいのは、娘さんが見たり読んだりするつもりのアニメやマンガ(もし教えてくれるなら)について、娘さんが見終わってから話したいと思うどんな議論にも備えておけるように、概要を読んでおくことだ。難しいのはこの変化だ。しかし一度この変化をすれば、娘さんが自分の年齢なりに、真面目なことについて長い議論をする精神的な能力を持っていることが分かるだろう。

『DEATH NOTE』を見てから、僕と母はすごく疎遠になった。僕はこの番組の知性に本当に啓発されたけれども、死に対してはまったく鈍感だったからだ。最終的に母とは夜遅くに、死者を敬うべきかどうかについて激論を交わして、それで決定的に仲違いした。でもその数年後、母は僕の(言ってみれば)変化を受け入れられるようになり、僕たちはよく長い会話をして、それがコミュニケーションには効果的だった。その過程で、僕と母は実人生で起こったことについてたくさん話すことができたし、そういう会話をすることであなたと娘さんの関係は本当に深まり、また娘さんは一人の人間になって行くだろう。

しかし、もし娘さんが死や血や流血に怯えやすいのなら、『DEATH NOTE』や『黒執事』は絶対に読んだり見たりしてはいけない。何か適当なエンターテインメントのようなものだと思って見ているなら、影響は非常に小さいだろう。しかし娘さんは、これらのアニメやマンガを見たり読んだりすると普通に湧き上がってくる疑問に答えられるほど大人でも勇敢でもないだろうから、(このアニメを見た僕の友人たちも大抵がそうだったように)非常に早く変化を迎えることになる。

最終的には、あなたが決めることだ。概要を読んで、娘さんが物語をよく理解できるかどうか考えてほしい。もし読んだり見たりさせるなら、そうしたダークなサイコスリラーの結末によって娘さんがどうなろうと、それに備えておかなければならない。

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■回答者4(ベトナム系アメリカ)
その3作品全部を、娘さんと同い年の妹と一緒に見たり読んだりしていた十代の人間として、この回答が何か洞察を与えるものなら嬉しい。

まず第一に、最も重要なのは、作品がフィクションだということを子供が分かっているか確認すること。本や映画と同じで、アニメとマンガもエンターテインメントの別の形式にすぎない。フィクションと現実の区別をすることが大事。

前述の3作品のうち、『黒執事』と『DEATH NOTE』については心配しなくていいことは保証できる。どちらも思想的で魅力的な、西洋の物語にはめったに見られないプロットがある。小さい頃にこの2作品を初めて見つけたとき、これは私の批判的思考力と問題解決能力に挑んでくるものだと思った。

もう少し詳しく言うと、『黒執事』はヴィクトリア朝イギリスの若い伯爵と、悪魔であるその執事とをめぐって展開する、非常に人気のある作品。アニメはマンガ版より間違いなくライトになっていて、マンガ版は慎重に組み立てられた伏線と、10ページのエッセイが書けそうな象徴の使い方を深く掘り下げている。この作品は「ダーク」というよりは、「ダークファンタジー」ドラマの「ファンタジー」の部分のほうに傾いている。登場人物たちは倫理的にはグレーだけど、それほど心配することはない。

一方『DEATH NOTE』は、法、自警団、人間の力の限界、そして正義について多くの倫理的な質問を投げかけてくる。物語は神話的な要素(具体的には死神の存在とそれに伴う力)があり、また主人公が(自分が正義と信じることをしようとして)ゆるやかに狂気に陥っていくことから、おおむね「ダークファンタジー」に分類される。私がこの番組を見ていて両親が唯一問題にしたのは、見終わってから正義の意味について解答を期待していない質問を大量にすることだった。でも、主人公がノートを使って人々を殺しているという点には気をつけてほしい ― だから娘さんが、これがフィクションで、また作中でだんだん分かってくるように悪いことだと理解している限り、この作品は大丈夫。

一番気にするべきなのは『東京喰種』だと思う。他の回答はこれについてもっと深く説明しているけれど、私は短く要約できる。作品のテーマもマンガ自体も気楽な感じで始まるんだけど、すぐに「ダーク」な題材に深く踏み込んでいく ― つまり食人、拷問等。個人的に、私ならこれを見るのは数年待ってからにする。

もっと個人的なことを言うと、私はこの3作品すべてを、あなたの娘さんと同じぐらいの歳の妹と一緒に見た。作品を現実と取ってはいけないということは強調していたけれど、でもこれらの示唆に富むアニメを見て妹の中に生じた問題について議論もした。こうした議論によって妹の批判的思考力は良い方向に発展したと思う。

要約 ― 『黒執事』はイエス、『DEATH NOTE』もたぶんイエス(娘さんによる)、『東京喰種』はノー。



翻訳元:Quora



海外はゾーニングにうるさい印象です。



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