海外Q&Aサイトの「西洋のRPG(WRPG)と日本のRPG(JRPG)の違いって何?」という質問から、回答をご紹介。


1227413

■回答者1(フランス)
ビデオゲームのRPGは奇妙なジャンルだ。それは二つの場所で(ほぼ)同時に生まれたものだからだ。

日本でも西洋でもゲーム開発者はオタクで、どちらも伝統的なペンと紙のRPGをプレイしていたので、ビデオゲームのRPGが生まれたのはまあ予想できることだった。

しかし奇妙なのは、重要だと思っているものが両者で違っていたという点だ。

二つの例をとってみよう:

『ダガーフォール』(1996)と『ファイナルファンタジーVI』(1994)。

main-qimg-a02dafebe30e80f906f9d297f9cd7750

参考:
「Daggerfall(ダガーフォール)とは、ベセスダ・ソフトワークスの製作したRPGである。
正式表記は「Daggerfall - The Elder Scrolls: chapter 2」あるいは「The Elder Scrolls II: Daggerfall」。」
Daggerfallとは (ダガーフォールとは) [単語記事] - ニコニコ大百科

『ダガーフォール』では、君は誰でもない人物としてプレイする。君がブレーズ(Blades)で働いていることを示す短いテキストが表示され・・・それだけだ。

君は戦士なのか? 魔術師なのか? それとも、もしや非戦闘員キャラ?

君はどこから来たのか? どんな外見をしているのか?

こうした質問と答えのすべては君次第だ。君は基本的に、空白のページを与えられて、そこに自分の物語を書くのは君次第だ。

これには欠点もある・・・何も指定されていないので自分のキャラとゲーム世界の間のつながりを見出すのが難しく、少なくとも、ゲーム自体はこの点をほぼ無視することになるのだ。

次に『ファイナルファンタジーVI』。

適当な主人公を一人選んで、様子を見てみよう:

main-qimg-b512e13e752516749a4595f365296c94-c

フィガロ城の主、エドガー・ロニ・フィガロ。彼は王で、うぬぼれ屋で、女たらしで(少なくとも自分ではそう思っていて)、格闘技のマスターになるため城を去った弟がいる。

彼は個性にあふれている。よく書けているという意味ではないが、少なくとも、彼と彼の住む世界との間に多くのつながりがある。

空白のページとは大違いで、君が書き込めるものは多くない。

彼の外見を変えることはできないし、ゲームプレイの観点から言うと、彼を使ってどうプレイするかはあまり変えられる部分がない。

西洋のRPG開発者は、ペンと紙のRPGの核となる経験が空白のページにあり、また君のキャラが探検家ワナビーからベテランの竜殺しへと発達する様にあると考えていた。

しかし日本のRPG開発者は、核となる経験は物語と個性あふれるキャラだと考えた。

二つの異なる見方だが、この二つのジャンルがどのように発展し、時にお互いにアイディアを取り入れあっているかを考えると、どちらも等しく正しいもののようだ。



■回答者2(イタリア)
  1. ゲームプレイ:
    西洋のRPGは進化した。JRPGは基本的に進化していない。またWRPGは、主として技術的な制約から、ターン制またはサイコロベースの戦闘で始まった。
    30年経った今では、物理演算エンジンや当たり判定等がある。JRPGは今も同じゲームプレイを使っている。
    グラフィック的には派手になったように見えるが、本質的には同じものだ。

  2. アートの様式
    WRPGは「現実的」な見た目を好む。
    JRPGは、バカバカしいほど巨大な武器や不合理なコスチュームと髪といった、アニメ的な見た目を好む。

  3. キャラクター
    WRPGのキャラは、例外はあるが通常は大人か青年。
    JRPGは通常、これまたアニメのお決まりの表現を反映して、悩めるティーンエージャーが登場する。
    またWRPGでは通常、自分が何者かを選ぶことができる。そして白紙に書き込ませる。JRPGでは、君の生い立ちは通常あらかじめ明確に定義されている。

  4. アプローチ
    WRPGはアクション、探索、戦闘志向が強い。
    JRPGは主に物語とキャラの成長に重点を置いているようだ。
    このためJRPGは、ある意味見た目だけが変わったビジュアルノベルという場合もある。WRPGに比べるとゲームプレイの経験はずっと限定されているが、しかしライターは通常、物語、キャラの成長、大量の会話とカットシーン・・・等に重点を置こうとする。
    またJRPGでは純粋な「ロールプレイ」は少なく、自分の行動によって決まるとはいえ、物語が展開して行くのを眺めることになる。

1および4の点で、JRPGは、古典的で「純粋主義」的な意味でのRPGではまったくないと私は思う。独自のタイプのゲームで、それで別に構わない。

つまるところ、どちらを好むかはどういった経験を求めているかによる。

個人的には、JRPGはジャンルとして信じがたいほど停滞していると思う。どれも同じお決まりの表現を再利用しているようだし、ゲームプレイはとてつもなく時代遅れだ。

しかしまた一方、多くのWRPGについても、同じ不満を言うことは可能だろう。

——————————

この回答の調子から、私がWRPGの方が好きだということは明らかだろうが、しかしJRPGもいくつかプレイしたし大好きだ。特に昔のやつ。『クロノ・トリガー』と『MOTHER2』は、おそらく今までで一番好きなゲームの中に入る(プレイしたのは出てからずっと後、私が大人になってからなので、子供時代の郷愁ではない)。

『二ノ国』も、特にスタジオジブリが協力したアートの様式と物語が好きだし、『ファイナルファンタジー』も、完全になまくらになってしまう前の8までは好きで、6が最高だ。

しかしWRPGも最近は停滞してきていると思う。『スカイリム』や『ドラゴンエイジ』、その他の作品は、一般に、私にとってはかなり期待はずれだった。



スポンサーリンク



■回答者3(イギリス)
根本的な違いは物語の語り方にある。それ以外のこと、例えばゲームプレイ、アートの様式、ゲーム進行等は、いずれも最初に受けた刺激に由来するものだ。
  • 西洋のRPGは『ダンジョンズ&ドラゴンズ』の人気に刺激された
  • 日本のRPGはライトノベルに刺激された
これがおそらく、二つのジャンルを分けるもっとも重要な要素の一つだ・・・

main-qimg-26abba21946b9c01fd18bb89efa72484-c

このゲームにキャラクター作成画面はあるか?

WRPGでは、大抵どんなゲームでもキャラクター作成画面がある ― 『バルダーズ・ゲート』、『Icewind Dale』、『Mass Effect』、『The Elder Scrolls』、『ネヴァーウィンター・ナイツ』、『Pillars of Eternity』等。ソロプレイでもチームプレイでも、西洋のRPGならどれも、おそらく君の外見を作るように言うことから始まる。これがJRPGとの違いを準備することになる。物語がどのように語られるかについての最初の手がかりだからだ。

どちらのジャンルも、ある程度まで主人公を物語の本筋に結びつけることはする。プレイヤーを没頭させるための要件のようなものだからだ。プレイヤーが自分のキャラについて何かを新しく知ることも珍しくはないし、それがかなり大きな反対を呼び起こすこともある(例えば『Star Wars: Knights of the Old Republic』で君がダース・レヴァンだと分かる場面)。しかしこうした騒動にもかかわらず、多くのゲームでは自分がどんな人物か、ある状況に対しどう反応するかを決定することができる。

参考:
「旅を続けるうち、プレイヤーはやがて自分のキャラクターの真の正体を知ることになる ― 洗脳されたダース・レヴァン。ダントゥインのジェダイ評議会が彼を捕らえ、これ以上銀河にとっての脅威とならないように記憶を改変し、彼らの経験したさまざまなビジョンがレヴァンの記憶となったのだ。」
Star Wars: Knights of the Old Republic – Wikipedia(英語)

しかしJRPGは、極度に事前定義された主人公の性格という点では先のレベルに進んでいる。彼らはプレイヤーの選択の自由なしに物事を行い、西洋のゲームならAかBかの分岐があるところで、自身で選択を下す。

JRPGでは、ある意味君は主人公の半直接的な観察者になる。君は彼らの物語が展開して行くのを見るためにゲームをプレイする。一方多くのWRPGは、キャラクターのカスタマイズと半ば白紙状態の語りによって、これは君の物語なのだと告げる。性格の認識におけるこの違いはビジュアルデザインにも見られる ― 進歩するにつれて武器と盾は変わるのに、JRPGのキャラクターは物語を通じて同じ服を着ており、それが変化するのは通常、筋の重要な転換点だ。西洋のゲームではかなりの程度、主にキャラクターの「武勲」や時には特別なキャラ専用ルールという制約の中で、キャラクターの服はあなたの好きなように、好きなだけ変えられる。

これはおおむね、オリジナルのテーブルトーク版『ダンジョンズ&ドラゴンズ』の「モンスターを殺してカッコいいアイテムをゲット」という重要な魅力に刺激されたものだった。多くのRPGが使用する紙人形システムは、もっと良い装備を手に入れた報酬を模倣する手段だった。その後『ウィッチャー3』のようなゲームや、あらゆるMMORPGがこれを発展させ、レベルが低いうちはありふれた、ことによると不出来な装備だが、トップに近づくと作るのに莫大な金がかかったであろう素晴らしい古代のアーティファクトを帯びているという、主題を織りなすツールにした。

main-qimg-9548db3f2a2781192623c8b2267d3425-c

ボロ着を王の絹衣を交換することほど、強くなったことをよく表すものはあまりない

この違いはJRPGというジャンルのルーツ、ビジュアルノベルに遡る ― WRPGが『D&D』のようなテーブルトークのゲームに刺激されたのに対し、彼らは初期の経験とストーリーテリングに刺激され、その根源は文学にあったため、このジャンルには物語が持ち込まれた。この遺産はJRPGにおける語りの重視と、WRPGにおける探索、発見、冒険の重視に今も見られる。



■回答者4(台湾)
WRPGは大抵が『きみならどうする?』だ(テーブルトークのゲームの自由さとはほとんど似ていない)。『Fallout: New Vegas』のように自由度の高いゲームもあるが、大抵はゲームに実際の影響を与える選択の一つか二つしかない、一本道になっている。

参考:
「『きみならどうする?』(原題:Choose Your Own Adventure)は、1979年から1998年までにバンタム・ブックスから発行され、現在はヴァーモント州ウォーレンの ChooseCo から出版されている子供向けのゲームブックシリーズである。各作品は二人称視点で書かれており、読者が主人公の役割を演じる。」
きみならどうする? – Wikipedia

WRPGには、大抵のJRPGと同様、主人公を中心とする世界があり、そのため君が物語を進めなければ何も変化は起こらない。『スカイリム』、『Gothic』、『Fallout』、『Arcanum』、『マイト・アンド・マジック』、その他多くのゲームもこの点では同罪だ。『Fallout』の昔のゲームには、世界が破滅する期限があり、この点ではちょっと良かった。

JRPGは『ウィザードリィ』と『ウルティマ』に刺激されたもので、コーエーが初のJRPGを作った(コーエーの、寂しい妻のもとを訪れてコンドームを売るゲームをJRPGとして扱わないのであれば。これには能力値の上昇がありゲームプレイにも影響する)。

参考:
「日本初の商用コンピュータRPGソフトとして知られるのが1982年に光栄マイコンシステム(現コーエーテクモゲームス)から発売された『ドラゴン&プリンセス』である※。」
JRPGとは (ジェイアールピージーとは) [単語記事] - ニコニコ大百科

「主人公には各種ステータスが設定されており、精力や男性シンボルの角度などもステータス化されていた。ゲーム開始時にこれらのパラメータをルーレット方式で決定する、『信長の野望』と同様の手法が採用されている[7]。」
ストロベリーポルノシリーズ#団地妻の誘惑 - Wikipedia

その後『D&D』も、『ファイナルファンタジー』のような人気ゲームに影響を与えた。白・黒・赤の魔術師というのは『D&D』に由来する(ドラゴンランス)。バハムートが竜だというアイディアも、初期の版の『D&D』から来ている。

コーエーは『維新の嵐』、『ケルトの聖戦』、『太閤立志伝』、『大航海時代』といった、戦略RPGのハイブリッド型ゲームをよく作っていた。

しかしこのジャンル(および『ルナティックドーン』のようなサンドボックスRPG)は日本の市場では受けず、やがてなくなって行き、選択肢があったとしても99%は意味がないような、物語を語るタイプのRPGだけが残った。

最近のJRPGでは時間制限が強くなってきている。アトリエシリーズや『ペルソナ』には、プレイヤーを前に進ませ続ける日付設定がある。これは『Fallout』の達人が、それよりずっと短時間でタイムリミットを引き受けるのに似ているが、しかしプレイヤーはきわめて限られた方法でしか解くことができない。

今日のJRPGにはかつてのコーエーの作品にあったような大きな自由はなく、きわめて単線的で、そしてWRPGはこれと似た状態になっている(例えば『Mass Effect 3』のエンディング、3本の筋があった『ウィッチャー1』に対して1本になった3、カスタマイズ要素を大幅に失った『Dragon Age: Inquisition』、『Fallout 4』はシューティングゲームになったし、『スカイリム』はクエストの難易度が下がり、『Gothic 4』は大惨事、『Risen 3』はがっかりだった)。

追記。他の回答の中にはきわめて情報が間違ったものがある。ライトノベルに刺激されたJRPGはごくわずかだ。学校ハーレム、戦う魔法少女、”異世界”(※原文ママ)といったものは、JRPGの市場にほぼ取り入れられていない。

例外は無料プレイで単純な戦闘システムのガチャゲー(gatcha games)だが、みんなこういうスマホゲームのことを話しているわけじゃあないと思う。



翻訳元:Quora



昔のゲームでやってみたいと思うのがあっても、動く環境がなくて事実上プレイ不可というパターンが悲しいです。



関連記事:
外国人「なぜギャルゲーは日本でしか人気がないの?」




Fallout 76 【CEROレーティング「Z」】 - PS4



スポンサーリンク