海外Q&Aサイトの「日本語の代名詞について何年も調べて、女の子だけど友達言葉では『僕』を使うことにしました。日本人はどういう反応をしますか?」という質問から、回答をご紹介。


■回答者1
日本語の代名詞を1年以上よく調べたんだよね? じゃあ語源について教えてあげよう。君はもう知ってるかもしれないけど、他の日本語学習者にとってはためになるだろう。

「僕」は音読みだと「ぼく」、訓読みだと「しもべ」だ。「ぼく」は1人称単数の人称代名詞として使うもので、他のみんなのポストでも分かるように一般に男性が使うもので、女性が使うことは一般的ではない。非常に目立つし、ことによると間違いと思われる。恐らくその理由は「しもべ」で、これは駄獣(※馬・ロバ・ラバ等、荷物を運ぶために使われる動物)の人間版みたいなものだ。君が重い荷を背負って長い道を行くのが好きなら「僕」で良い。何なら自分を指して「しもべ」と言ってもいい。相手の日本人が、間違いを直してあげるべきか(せいぜい失礼で済む)、それともよくある外国人の「変わった喋り方」だと思って流そうか(こちらの方が礼儀にかなっているが、ただし確実に気分は害する)、と居心地悪そうにしているのに感づくだろう。

今までに10人の人が時間をとって素晴らしいコメントをポストしてくれているが、君がそれに対して十分適切な注意を払っているとはとても思えない。万が一、君が新しい日本の友達に会う度に心の中のラバを彼らに向けたくないと思うなら、この「しもべ」を覚えておくといい。



■回答者2
これについては、日本のLGBTコミュニティで友人たちと話したことがあって、それと私個人の理解から言えるのは、「僕」は社会的なジェンダーの肯定よりも文法的なジェンダー(性)のレベルの方に密接につながっているということだ。ジェンダーによって動詞の時制や形容詞が変化する言語、例えばフランス語・スペイン語・ポルトガル語等を話せるなら、この違いは分かりやすいだろう。

私の日本人のレズビアンやトランスジェンダーの友人は「僕」を使わないし、使うのは一般的ではない。稀なケースとして、女の子がトランスジェンダーだったり自己を男の子と認識している場合に「僕」を使うことはありうるが、これは間違いというより奇妙に聞こえるだろう。一人称「僕」に留まらず、日本語では文法構造や用語が男性と女性とで大きく異なっている。例えば女の子は通常「うまい」ではなく「おいしい」を使う。

また、例えば別のストレートの女の子は友達言葉では「自分」を使う。聞いてみたところ、「自分」はより中性的なジェンダーの代名詞だから好きなのだと言っていた。

とは言え、結局のところ、言語は常に進化している。かつて「俺」が両方のジェンダーに使われていたように、「僕」がいつかジェンダーなしにならないかは、誰にも分からない。



■回答者3
「僕」を使う女性を何人か知っている。そのうちの少なくとも1人は40代半ばだ(若くないという意味じゃないけど・・・)。これは地域的な問題かもしれない。全員小都市に住んでいて、話し方は実に「田舎っぺ」という感じだ。

僕が住んでいた小さな農村では、お年寄りは子供や自分より年下の人を指して男女を問わず「僕」を使っていた。「お姉さん」「あんた」「あなた」「君」と言う代わりに、僕の娘や他の子どもたちを「僕」と呼ぶんだ。僕は43歳だけど、それでも「僕」と呼ばれていた。

僕の娘は自分を指して「僕」を使うことはなかった。今でも人称代名詞の代わりに自分の名前を使っている。ちなみにこれっていつまで続くのかな・・・子供としては可愛いけど、大人としては子供じみてるよ。



翻訳元:Quora





日本語とジェンダー



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