海外Q&Aサイトの「ヤクザは日本で政治的な力を持っているの?」という質問から、回答をご紹介。


■回答者
イエス。この男を見てほしい:

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戦後日本の政治を理解したかったら、この男について知っておく必要がある。彼を抜きにしては過去に起こったことも、現在進行中のことも本当には理解できない。質問では「ヤクザ」という言葉が使われている。写真の男、児玉誉士夫は、明確なリーダーが不在のため頂上争いを続けて手が付けられなくなっていた5,000人を超えるギャングの混沌を鎮めるため、1948年に米軍当局によって巣鴨プリズンから解放された。

児玉には人脈とカネ、そしてリーダーの素質があった。その結果、抗争する派閥は休戦し、ヤクザという総称の下にまとまった。

児玉はそこで止まらなかった。占領下の中国でのヘロイン取引等で得た富の力で、彼は「自由党」に資金を提供した。自由党は民主党と合同し、岸信介の傘下となった。児玉は岸を知っていた。彼らは巣鴨プリズンで同房だったのだ。

こうして55年体制が生まれた。今の日本の首相、安倍晋三は岸の孫だ。

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この本(※邦訳『ヤクザが消滅しない理由』)の「児玉時代」の章は、児玉の影響力について非常によくまとまっている。

注記:最も在任期間の長かった首相の一人、小泉純一郎の祖父・小泉又次郎はヤクザであり、政治家でもあった。

ヤクザについて主に考えるべきはカネとの関わりである。ちょうど、アル・カポネが「私はアメリカの自由企業体制の100%支持者だ」と言ったとされるように。

この目標を達成するために、彼らは買収で言いなりになる政治家を好む。「浜田幸一のような卓越した、かつヤクザに汚染された政治家が、国粋主義の団体である青嵐会に加わったのは偶然ではない。政策に対するヤクザの影響力を測ることは難しい。日本の社会の多くに浸透している構造的腐敗は、しばしばこのギャングたちが鼓吹し、潤滑油を差している。確かに港湾労働、建設業、貸金業といったヤクザが支配する産業の規制改革は長らく遅れてきたが、その原因の一部はヤクザと国会にいるそのお仲間たちの影響によるものだ。しかしギャングの政治的影響力が最も深刻に感じられるのは、右翼とヤクザの結びつきである。ヤクザは日本の現代の国粋主義運動ときわめて密接に関連しており、両者は区別しがたいことも多い。」(『ヤクザが消滅しない理由』から引用)

参考:
「青嵐会(せいらんかい)は、1973年、自由民主党の派閥横断的に結成された保守派の衆参両若手議員31名からなる政策集団。石原派と呼ばれた。」
青嵐会 - Wikipedia

児玉のフィクサーとしての経歴はロッキード事件に関わったことで短くなり、1984年に没する前にはほぼ姿を消していた。



↑コメント1
『ヤクザが消滅しない理由』が出版されたのは32年前だ。君は米国や英国の集団犯罪の情報について、30年前の時代遅れの本に頼る気か?

もっと言うと、著者は2人とも日本語を話すことも読むこともできない。英語を話すことも読むこともできない日本人2人が書いた米国や英国の集団犯罪についての本があったら、君はどう思う?

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↑回答者
いや、そんなつもりはない。同書は2012年に改訂版が出ている。君の質問は紛らわしいとしか言いようがない。私が頼りにするのは、自分が30年間日本に住んでいるということと、同書の著者たちが情報源としてよく利用しているグレン・デイヴィス、それからロバート・ホワイティング(→Wikipedia)とジェイク・エーデルスタイン(→Wikipedia)、この2人には直接会って話したこともあるが、ヤクザについて書いている。ホワイティングの『東京アンダーワールド』について、マリオ・プーゾ(→Wikipedia)はこう言っている。「日本で民主主義が犯罪と手を取り合って進歩する様は興味深い」。



↑コメント1
改訂されたとは言いがたい。追加されたエピローグが「ニュー・ヤクザ」という時点でお察し。

グレン・デイヴィスについてはググってみたがよく分からない。ホワイティングとは手紙のやり取りをしたことがある。彼は野球のことだけ書いているべきだな。

エーデルスタインは、良く言っても信頼に値しない。彼の本には、日本語が流暢に話せると称する人ならやらないような基礎的な事実の間違いがよくある。幾つかの点については個人的に指摘したこともある。

ヤクザについての彼の本は、読み始めたが何が事実で何がファンタジーか全く分からなくて途中で諦めた。

日本の政治についての彼の本はファンタジーと誇張だらけで、日本会議について扱ったところは特にそうだ。私は71歳だが、もし日本会議に参加したらせいぜいが青年隊だろう。日本会議タイプの人物には沢山会ってきたが、彼らの前では自分がただのティーンエージャーのように見える。

マリオ・プーゾが『東京アンダーワールド』について「日本で民主主義が犯罪と手を取り合って進歩する様は興味深い」と言っている件は、なぜアメリカの犯罪フィクション作家に日本についての本を批判的に評価する能力があると見なさなければならないのか、とだけ言っておく。

それに、なぜ君はピーター・B・E・ヒルの『日本のマフィア:ヤクザ・法・国家』(Oxford University Press, 2002)のような著作を引用しないんだ? これは全体に、君が引用した著作より新しいし内容も適切だ。

私は暴力団がコントロールするシカゴ郊外で育ったせいかもしれないが、日本でのヤクザの影響力について、現実のものにせよ噂レベルにせよ、多くの外国人ほどこだわる気になれない。

父は小さな建設会社を営んでいたが、暴力団から無視されるほど小さくはなかった。

私が「ジョリエット・スペクテイター」紙(※シカゴ郊外の都市ジョリエットのローカル紙)の配達をしていた1957年、反暴力団の編集者モリー・ゼルコが失踪した。今でも未解決だ。

失踪を報じた新聞の見出しと、ジョリエットの誰もが暴力団が彼女を消したと思っていたのを今でも覚えている。

そういう環境で育ったので、日本のヤクザについての本には多くを期待している。ジェイク・エーデルスタインは特にそれには応えてくれない。犯罪フィクションが読みたければ、ダシール・ハメットでも再読するよ。




翻訳元:Quora



マンガや小説でよくある「戦後日本を裏で操った右翼の大物」の元ネタですね。



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ヤクザが消滅しない理由



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