海外Q&Aサイトの「なぜサーモンって日本以外の場所でだけ日本料理として有名なの?」という質問から、回答をご紹介。
■回答者1
第一に、サーモンは西洋人にとって一番食べやすい魚だ。優しい味で、入手もしやすい。どんな魚か誰でも知っている。第二に、日本ではサーモンはある地域と季節に固有の食べ物だ。東京では一年を通じてサーモンが手に入るが、最高のものは手に入らない。良いのが食べたければ日本の北のほう・・・青森とか北海道とか・・・に、秋か初冬に行く必要がある。今までで最高のドンブリがあるぞ!
■回答者2(日系アメリカ)
昔は(といっても私の父の時代だから、実際にはたった50年ぐらい前)、サーモンは寄生虫やその他の病気にかかる可能性が高いため、食べるなら調理してから食べる魚だった。
当時も、こうした病気を全滅させようときつく塩漬けにして酒に浸して、寄生虫がいそうな部分はすべて切り捨てなければならないという事実を隠すために非常に薄く切っていた(だから日本のスーパーでは、塩漬け・味付けしていない、生の厚切りのサーモンのステーキは普通見かけない。今の日本人の意識には、サーモンはそういう食べ方をするものだということが染み付いているからだ)。
食用になる魚は3,000種類ぐらいあったので、サーモンは「高級料理」の中には入っていなかった。
これが現代の冷蔵技術と瞬間冷凍技術で一変し、私たちはサーモンを思うままに食べられるようになった。
子供の頃、ロサンゼルスで両親が高級な日本料理店に連れていってもらった時のことを今でも覚えている。京都の料理の店で、「レア」な味のするサーモンの酒蒸しが出た。
父は病気になりたくないと言って食べなかったが、京都育ちの母は父の代わりに喜んで食べた(病気にはならなかった)。
それから30年経って、気がつけば私も生のサーモンの寿司を食べていた。
父は未だに食べようとしない。
私は大好きだけどね。
■回答者3(アメリカ)
なんでこんな質問が出てきたのか分からないな。
日本の伝統的な焼き魚の朝食を食べれば、その魚がサーモンである見込みは大体半々だ。
ランチでも確率は同じぐらい。
スモークサーモンは珍味と考えられていて、贈答品によく使われる。
君が言っているのは、最近まで日本人は生のサーモンをほとんど食べなかったという事実ではないかと思う。これには二つの理由がある:一つは回答者2がよく説明してくれていて、伝統的にサーモンには寄生虫がいると考えられていて、調理前に塩か酒粕に浸けておく必要があったということだ。
二つ目は、サーモンは食感が良くて豊かだが、風味はそれほど強くないということだ。
しかしこれらは今では昔の話だ。10~15年前に安い寿司屋が人気になり始めた頃、生のサーモン ― 比較的安い食材だ ― は、突然どこでも見かけるようになった。今日では、スシローみたいな回転寿司に行けば半ダースのサーモンの寿司があって、回っている皿の数からするに人気がある。
レストランで今でも見かけないのは「レア」のサーモンだが、調理法としてはこれが最高だ(サーモンは火を通しすぎると乾いて固くなる傾向がある)。これも時間の問題だと良いんだけどね。
■回答者4
以下の記事を読んだ。ノルウェーにサーモン(寄生虫のいない)が有り余っていたため、サーモンの寿司が日本(寄生虫への懸念からサーモンは一般に火を通して食べる)以外で売り出された経緯を説明したものだ。
ノルウェーの絶望的なサーモン産業が、いかにして寿司の定番を作り出したか : NPR
----- 引用ここから -----
ジャン:ノルウェーのビョーン・エイリク・オルセンさんです。彼によると、'80年代にノルウェーは問題を抱えていました。サーモンが多すぎたのです。政府は魚を食べることで有名な国にこれを売るために、ビョーンを雇いました。ビョーンは簡単だと思いました。東京に行って日本の水産業の経営者たちに会いましたが、ここで次の問題が明らかになります。サーモンの寿司です。
オルセン:不可能だって言うんですよ。私たち日本人はサーモン巻きを食べない、って。美味しくないって言うんです。色も悪いと。もっと赤くなくちゃいけないんですね。匂いもある。また頭の形も良くないと。
ジャン:日本の人たちは基本、サーモンはまずいと思っていたんですね。ビョーンにとって大きな試練でした。一つの国全体の認識を、その理屈抜きの反応を変える必要があったのです。日本の人たちが食べ慣れているサーモンには寄生虫がいるので、常に火を通していました。ビョーンはノルウェーのサーモンは違うと言いました。寄生虫は問題にならないと。しかし「心配は無用、私たちのサーモンは寄生虫フリーです」という広告を打つことはできませんでした。
オルセン:その点には一切触れたくなかったんです。うちの魚には毒がありません、寄生虫はいません、悪いものは入っていませんと言ったら・・・
ジャン:ああ、まず考えるのは「毒があるのか?」だと。
オルセン:そうそう、そうなんです。
ジャン:代わりにビョーンは、ノルウェーの純粋で新鮮な水に焦点を当てた広告を作りました。これは功を奏しました。そしてノルウェーに戻ってみると、サーモン業界は絶望していました。サーモンの過剰供給は悪化し、業務用冷凍庫を何十トンというサーモンで埋め尽くし始めていたのです。サーモンの寿司という夢を諦めろというプレッシャーは強かったとビョーンは言います。しかし彼は諦めなかった。必要なのは一度の大売り出しだけだと考えました。彼はニチレイという企業を訪れました。数年前にも話をしていたんですね。日本では誰でも知っている会社です。餃子、チキンナゲット、イカといった冷凍食品を売っています。ビョーンはこう言いました。5,000トンのサーモンを安く売ります。やってほしいのは、それを食料品店で寿司として売ることだけです。とにかくやってみてください、と。ニチレイは承諾し、取引が成立しました。
----- 引用ここまで -----
■回答者5(アメリカ)
前提が間違い。サーモンは日本で非常に人気がある。
伝統的な朝食がどんなものか知っているか?
もし君が日本に行ったほうが人生がずっと良くなると考えているサーモンなら、考え直せ。日本は君を待っている。
翻訳元:Quora
新しい寿司ネタを根付かせたノルウェーのマーケティング力がすごいと思ってしまった。
関連記事:
外国人「日本人は生のシーフードを食べて食中毒にならないの?」
サーモン料理大全―定番から最先端の技法を一冊で学べる (旭屋出版MOOK)
■回答者1
第一に、サーモンは西洋人にとって一番食べやすい魚だ。優しい味で、入手もしやすい。どんな魚か誰でも知っている。第二に、日本ではサーモンはある地域と季節に固有の食べ物だ。東京では一年を通じてサーモンが手に入るが、最高のものは手に入らない。良いのが食べたければ日本の北のほう・・・青森とか北海道とか・・・に、秋か初冬に行く必要がある。今までで最高のドンブリがあるぞ!
■回答者2(日系アメリカ)
昔は(といっても私の父の時代だから、実際にはたった50年ぐらい前)、サーモンは寄生虫やその他の病気にかかる可能性が高いため、食べるなら調理してから食べる魚だった。
当時も、こうした病気を全滅させようときつく塩漬けにして酒に浸して、寄生虫がいそうな部分はすべて切り捨てなければならないという事実を隠すために非常に薄く切っていた(だから日本のスーパーでは、塩漬け・味付けしていない、生の厚切りのサーモンのステーキは普通見かけない。今の日本人の意識には、サーモンはそういう食べ方をするものだということが染み付いているからだ)。
関連記事:
外国人「なぜ日本人は寿司や刺身のような生魚を食べられるの? どうやって消化器を順応させたの?」
食用になる魚は3,000種類ぐらいあったので、サーモンは「高級料理」の中には入っていなかった。
これが現代の冷蔵技術と瞬間冷凍技術で一変し、私たちはサーモンを思うままに食べられるようになった。
子供の頃、ロサンゼルスで両親が高級な日本料理店に連れていってもらった時のことを今でも覚えている。京都の料理の店で、「レア」な味のするサーモンの酒蒸しが出た。
父は病気になりたくないと言って食べなかったが、京都育ちの母は父の代わりに喜んで食べた(病気にはならなかった)。
それから30年経って、気がつけば私も生のサーモンの寿司を食べていた。
父は未だに食べようとしない。
私は大好きだけどね。
■回答者3(アメリカ)
なんでこんな質問が出てきたのか分からないな。
日本の伝統的な焼き魚の朝食を食べれば、その魚がサーモンである見込みは大体半々だ。
ランチでも確率は同じぐらい。
スモークサーモンは珍味と考えられていて、贈答品によく使われる。
君が言っているのは、最近まで日本人は生のサーモンをほとんど食べなかったという事実ではないかと思う。これには二つの理由がある:一つは回答者2がよく説明してくれていて、伝統的にサーモンには寄生虫がいると考えられていて、調理前に塩か酒粕に浸けておく必要があったということだ。
二つ目は、サーモンは食感が良くて豊かだが、風味はそれほど強くないということだ。
しかしこれらは今では昔の話だ。10~15年前に安い寿司屋が人気になり始めた頃、生のサーモン ― 比較的安い食材だ ― は、突然どこでも見かけるようになった。今日では、スシローみたいな回転寿司に行けば半ダースのサーモンの寿司があって、回っている皿の数からするに人気がある。
レストランで今でも見かけないのは「レア」のサーモンだが、調理法としてはこれが最高だ(サーモンは火を通しすぎると乾いて固くなる傾向がある)。これも時間の問題だと良いんだけどね。
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■回答者4
以下の記事を読んだ。ノルウェーにサーモン(寄生虫のいない)が有り余っていたため、サーモンの寿司が日本(寄生虫への懸念からサーモンは一般に火を通して食べる)以外で売り出された経緯を説明したものだ。
ノルウェーの絶望的なサーモン産業が、いかにして寿司の定番を作り出したか : NPR
----- 引用ここから -----
ジャン:ノルウェーのビョーン・エイリク・オルセンさんです。彼によると、'80年代にノルウェーは問題を抱えていました。サーモンが多すぎたのです。政府は魚を食べることで有名な国にこれを売るために、ビョーンを雇いました。ビョーンは簡単だと思いました。東京に行って日本の水産業の経営者たちに会いましたが、ここで次の問題が明らかになります。サーモンの寿司です。
オルセン:不可能だって言うんですよ。私たち日本人はサーモン巻きを食べない、って。美味しくないって言うんです。色も悪いと。もっと赤くなくちゃいけないんですね。匂いもある。また頭の形も良くないと。
ジャン:日本の人たちは基本、サーモンはまずいと思っていたんですね。ビョーンにとって大きな試練でした。一つの国全体の認識を、その理屈抜きの反応を変える必要があったのです。日本の人たちが食べ慣れているサーモンには寄生虫がいるので、常に火を通していました。ビョーンはノルウェーのサーモンは違うと言いました。寄生虫は問題にならないと。しかし「心配は無用、私たちのサーモンは寄生虫フリーです」という広告を打つことはできませんでした。
オルセン:その点には一切触れたくなかったんです。うちの魚には毒がありません、寄生虫はいません、悪いものは入っていませんと言ったら・・・
ジャン:ああ、まず考えるのは「毒があるのか?」だと。
オルセン:そうそう、そうなんです。
ジャン:代わりにビョーンは、ノルウェーの純粋で新鮮な水に焦点を当てた広告を作りました。これは功を奏しました。そしてノルウェーに戻ってみると、サーモン業界は絶望していました。サーモンの過剰供給は悪化し、業務用冷凍庫を何十トンというサーモンで埋め尽くし始めていたのです。サーモンの寿司という夢を諦めろというプレッシャーは強かったとビョーンは言います。しかし彼は諦めなかった。必要なのは一度の大売り出しだけだと考えました。彼はニチレイという企業を訪れました。数年前にも話をしていたんですね。日本では誰でも知っている会社です。餃子、チキンナゲット、イカといった冷凍食品を売っています。ビョーンはこう言いました。5,000トンのサーモンを安く売ります。やってほしいのは、それを食料品店で寿司として売ることだけです。とにかくやってみてください、と。ニチレイは承諾し、取引が成立しました。
----- 引用ここまで -----
関連記事:
外国人「なぜメディアは日本の捕鯨にばかり着目するの? ノルウェーとアイスランドも同じぐらいクジラを殺してるよね?」
■回答者5(アメリカ)
前提が間違い。サーモンは日本で非常に人気がある。
伝統的な朝食がどんなものか知っているか?
- 焼き鮭
- スープ
- 小さなお椀にご飯 ― オプションで生卵
もし君が日本に行ったほうが人生がずっと良くなると考えているサーモンなら、考え直せ。日本は君を待っている。
翻訳元:Quora
新しい寿司ネタを根付かせたノルウェーのマーケティング力がすごいと思ってしまった。
関連記事:
外国人「日本人は生のシーフードを食べて食中毒にならないの?」
サーモン料理大全―定番から最先端の技法を一冊で学べる (旭屋出版MOOK)
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日本には昔から荒巻鮭があった。スライスだけではない、内蔵をとった丸まんまがたくさん家庭まで流通していた。薄くスライスするばかりではない。