海外Q&Aサイトの「食べても安全な寿司ってどうやって作ってるの?」という質問から、回答をご紹介。
■回答者1(Dominic Audy カナダ)
生魚には、特にアメリカでは多くの恐怖がつきものだ。アメリカ人はよく、自然の状態の魚が「寄生虫だらけ」で「病的」であるかのように語る。実際には健康で寄生虫のいない魚はたくさんいるし、市場に出回るのは大抵その種の魚だ。
米国で主に採られる方法は魚を冷凍することだ。これがハエを殺すのにバズーカを撃つようなもので、冷凍はもっと選択的に行われるべきだと考える人は多いが、FDA(アメリカ食品医薬品局)は安全性を重視しすぎて味を犠牲にすることで悪名高い。もちろんアングロサクソンには生魚を食べる強い伝統はないから、水産業界にもこの問題についての専門技術や知識体系がない(日本で獲れる種類の魚のほうが、アメリカの海岸で獲れる多くの種類の魚についてよりも多くのことが分かっている)。だから冷凍魚が一番良いということになるのかも知れない。
他の多くの国では、冷凍が主に使われるのはマグロやカツオ、ハマチといった大きくて非常に価値のある魚に対してで、船上で瞬間冷凍する。それよりも一般的なのは、夜明けに魚を氷水に入れて港に持ち帰ることだ。刺身で売られる魚を冷凍しなくてもいいように、日本で使われる別の(ハイエンドな)手法は、魚を殺す代わりに脊椎に釘を打って麻痺させて、魚を腐敗させるアミノ酸の生成が始まるのを遅らせることだ。これはとりわけ、非常に高価な真鯛や鯛に使われる。海外でもハイエンドな寿司屋によって、こうした釘を打った魚に対する需要は高まっていて、東京の築地市場から氷に乗せて、ただし冷凍はせずに空輸されている。非常に価値のある魚の中には、末端の消費者(高価な寿司屋や懐石料理店)まで特殊なコンテナで生きたまま運ばれて売られるものもある。
マグロのような大きな魚を瞬間冷凍するのは、寄生虫を殺すためというよりも、この種の魚を獲る船は多くの漁船とは違って毎日港に戻らなくて、またマグロは可能なかぎり新鮮な状態で築地市場に運ばれて最高の入札者に売られる必要があるためだ。これによってたまたま寄生虫が殺されることもある。マグロの腹部は寄生虫やバクテリアによってそれほど冒されてはいないので、ここは大抵食べても完全に安全だ。
日本で刺身として食べられる魚のほとんどは冷凍されていない。実に新鮮だ(買ったときには・・・寿司職人はそれから数日間、死後硬直が終わってアミノ酸の風味が頂点に達するまで魚を寝かせることが多い。この期間はマグロのように大きな魚だと14日間ぐらい、小さな魚だと数時間になる)。また市場では知識のある人々が寄生虫の検査をするし、日本人は生で食べる魚を病気や寄生虫の生じにくい種類から選んでいる(川に棲んでいない高品質の養殖サーモンによって安全になるまで日本人が長い間サーモンの刺身を避けてきたのはこのためだ)。また魚に塩や昆布や酢で保存処理をすることも多い。これは表面のバクテリアの一部(例えばサバ科の魚の外皮には多い)を除去するのに役立つ。
■回答者2(Gavin Niebel)
君の質問は魚を生で食べること自体について言っているんだと思う。私は専門家ではないし、他の人たちがもっと有益な情報のある回答をしてくれると思うが、しかし本質的には、魚が健康で新鮮なら、生魚を食べても何も問題はない。一般に生肉について本来的に「不健康」なことは何もなくて、これはすべての動物について言える(ただ畜産業の問題で、生のチキンと豚を食べると死ぬ可能性があると言われている)。
ただし、魚に関してはまったく状況が違うようだ。もしスキルがあるなら、自分でサーモンかマグロを捕まえて、内臓を取って、自分の寿司の大きさにスライスして、数分以内に食べることができる! :D
■回答者3(Alvin Hovasapian アメリカ)
寿司を食べても安全なものにするのに使われる主要な技術は、寄生虫を殺すために魚を冷凍することだ。
「寄生虫を殺すために冷凍することの効果は、以下のようないくつかの要因に依存している。冷凍プロセスの温度、魚の組織を冷凍するのに必要な時間の長さ、魚が冷凍状態にある時間の長さ、魚の種類と産地、そして存在する寄生虫の種類である。」
寄生虫についてのFDAのガイドラインは以下で読める:
魚介類および魚介類製品の危害および管理のガイド(英語、PDF)
翻訳元:Quora
しばらくお寿司食べてないなぁと思ったので訳してみました。
2019-04-09:回答者の名前を追記
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■回答者1(Dominic Audy カナダ)
生魚には、特にアメリカでは多くの恐怖がつきものだ。アメリカ人はよく、自然の状態の魚が「寄生虫だらけ」で「病的」であるかのように語る。実際には健康で寄生虫のいない魚はたくさんいるし、市場に出回るのは大抵その種の魚だ。
米国で主に採られる方法は魚を冷凍することだ。これがハエを殺すのにバズーカを撃つようなもので、冷凍はもっと選択的に行われるべきだと考える人は多いが、FDA(アメリカ食品医薬品局)は安全性を重視しすぎて味を犠牲にすることで悪名高い。もちろんアングロサクソンには生魚を食べる強い伝統はないから、水産業界にもこの問題についての専門技術や知識体系がない(日本で獲れる種類の魚のほうが、アメリカの海岸で獲れる多くの種類の魚についてよりも多くのことが分かっている)。だから冷凍魚が一番良いということになるのかも知れない。
他の多くの国では、冷凍が主に使われるのはマグロやカツオ、ハマチといった大きくて非常に価値のある魚に対してで、船上で瞬間冷凍する。それよりも一般的なのは、夜明けに魚を氷水に入れて港に持ち帰ることだ。刺身で売られる魚を冷凍しなくてもいいように、日本で使われる別の(ハイエンドな)手法は、魚を殺す代わりに脊椎に釘を打って麻痺させて、魚を腐敗させるアミノ酸の生成が始まるのを遅らせることだ。これはとりわけ、非常に高価な真鯛や鯛に使われる。海外でもハイエンドな寿司屋によって、こうした釘を打った魚に対する需要は高まっていて、東京の築地市場から氷に乗せて、ただし冷凍はせずに空輸されている。非常に価値のある魚の中には、末端の消費者(高価な寿司屋や懐石料理店)まで特殊なコンテナで生きたまま運ばれて売られるものもある。
マグロのような大きな魚を瞬間冷凍するのは、寄生虫を殺すためというよりも、この種の魚を獲る船は多くの漁船とは違って毎日港に戻らなくて、またマグロは可能なかぎり新鮮な状態で築地市場に運ばれて最高の入札者に売られる必要があるためだ。これによってたまたま寄生虫が殺されることもある。マグロの腹部は寄生虫やバクテリアによってそれほど冒されてはいないので、ここは大抵食べても完全に安全だ。
日本で刺身として食べられる魚のほとんどは冷凍されていない。実に新鮮だ(買ったときには・・・寿司職人はそれから数日間、死後硬直が終わってアミノ酸の風味が頂点に達するまで魚を寝かせることが多い。この期間はマグロのように大きな魚だと14日間ぐらい、小さな魚だと数時間になる)。また市場では知識のある人々が寄生虫の検査をするし、日本人は生で食べる魚を病気や寄生虫の生じにくい種類から選んでいる(川に棲んでいない高品質の養殖サーモンによって安全になるまで日本人が長い間サーモンの刺身を避けてきたのはこのためだ)。また魚に塩や昆布や酢で保存処理をすることも多い。これは表面のバクテリアの一部(例えばサバ科の魚の外皮には多い)を除去するのに役立つ。
↑コメント1(Takayuki Karahashi 日本)
一番重要なのは君の回答の最後の段落だと思う。淡水魚を決して生で食べないのも、またノルウェーのサーモンが「鮭」ではなく「サーモン」として出されるのも、これが原因だ。
↑回答者1
コメントありがとう。サーモンの刺身をネタに使った寿司が日本より西洋で早く出されるようになった(もともとは十分に修行を積んだ日本人の料理人によって)のも、同じことが原因かもしれない(ただし、私の理解では北海道ではそれよりずっと前からあった)。私たちはサーモン寿司が人気になるずっと前から、養殖サーモンをタルタルやスモークサーモン、ロックスで食べてきた。参考:
「ロックス(英語:Lox、イディッシュ語:לאקס)は、加工処理された鮭の切り身のこと。本来は鮭の切り身を塩、砂糖、油、香辛料から成るマリネ液に漬け込んだだけの、北ヨーロッパのグラブラックスと似た製品であるが、冷燻処理されたスモークサーモンをロックスと呼ぶこともある。」
ロックス - Wikipedia
今でも覚えているが、「西洋の寿司」が西海岸の外へと広まり始めた最初の頃、ブリティッシュコロンビアの川で獲った天然のサーモンは不可で、大西洋で獲ったサーモンか養殖のサーモンでないといけないという議論がよくあった。あと日本ではサーモンの刺身は食べないという話も。当時、英語で寿司について書かれた本にもサーモンは載っていなかった。
私の意見では、サーモンも旨味を増すために少し保存処理(昆布締めのような)をすると良いと思う。また皮は炙って調理するように残しておくほうが好きで(これまた風味が増す)、表面を軽く炙ったら鰹節と煮詰めて少量の葛でとろみをつけた醤油を刷毛で塗るのが良い。それ以外だと、サーモンは口に入れたときの食感は実に素晴らしいが、刺身として最高に美味しい魚というわけではなく、実際ちょっと退屈だ!(私は大抵、刺身にするなら良いサーモンよりも良い鰆を選ぶ)。
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■回答者2(Gavin Niebel)
君の質問は魚を生で食べること自体について言っているんだと思う。私は専門家ではないし、他の人たちがもっと有益な情報のある回答をしてくれると思うが、しかし本質的には、魚が健康で新鮮なら、生魚を食べても何も問題はない。一般に生肉について本来的に「不健康」なことは何もなくて、これはすべての動物について言える(ただ畜産業の問題で、生のチキンと豚を食べると死ぬ可能性があると言われている)。
ただし、魚に関してはまったく状況が違うようだ。もしスキルがあるなら、自分でサーモンかマグロを捕まえて、内臓を取って、自分の寿司の大きさにスライスして、数分以内に食べることができる! :D
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■回答者3(Alvin Hovasapian アメリカ)
寿司を食べても安全なものにするのに使われる主要な技術は、寄生虫を殺すために魚を冷凍することだ。
「寄生虫を殺すために冷凍することの効果は、以下のようないくつかの要因に依存している。冷凍プロセスの温度、魚の組織を冷凍するのに必要な時間の長さ、魚が冷凍状態にある時間の長さ、魚の種類と産地、そして存在する寄生虫の種類である。」
寄生虫についてのFDAのガイドラインは以下で読める:
魚介類および魚介類製品の危害および管理のガイド(英語、PDF)
翻訳元:Quora
しばらくお寿司食べてないなぁと思ったので訳してみました。
2019-04-09:回答者の名前を追記
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