海外Q&Aサイトの「なぜ多くの日本人は20世紀の日本のアジア侵略が正当だったと考えるの?」という質問から、回答をご紹介。
■回答者1
まず言わせてほしいのは、この質問は間違いだ。日本人は侵略が正当だったとは思っていない。実際に歴史を学んだ人が、中国の侵略が始まった時点でそれは「必然」だったと主張することはあるかも知れないが、正当化はしない。反対に、帝国統治時代のことを憤る理由が世界一あるのが日本人だ。(この点を明らかに示すために例を上げると、日本人は軍隊というものに対して非常にネガティブな意見を持っており、帝国陸軍と関連があるという理由で自衛隊の採用は極度に難しくなっている)。さらに、日本人に日本の黄金時代はいつだったかと聞いてみるならば、99%は戦後と答えるだろう。(第2次大戦の始めも終わりも、中国のGDPは日本よりずっと高かった)。日本が中国を史上初めて追い越したのは、1960年代と1970年代だった。
さて、ではなぜ第2次大戦中の犯罪について日本人は知らないのか。これは日本だけの問題ではなく、世界のほとんどは太平洋戦域で行われた犯罪について実に無知だということを付け加えなければならない。これについて理由を3つ上げよう。
#1. 思うに最も重要な理由は日本のファシズムの複雑さだ。日本が犯した全ての犯罪の責任を負わせるリーダーというものが不在だったし、中国を侵略し米国を攻撃するに当たっての単一のイデオロギーさえもなかった。それは最も単純な形での、勝利というカルトだった。全ては勝利により正当化される。
この点の背景として、裕仁天皇は決してアドルフ・ヒトラーと比較できるような人物ではなかった。彼は国際社会の介入を恐れて日本の満州併合に反対していた。(天皇の命令に従って行動した犬養毅首相はこのため暗殺され、これが戦前最後の文民政権となった。)とは言え国際法に基づき、彼はその名の下に行われた全ての犯罪の責任を負うべきだが。
もう一人有名なのは東條だが、彼は戦争の最後の3年間の首相であったに過ぎず、しかも最後の2年は非常に小さな力しか持たなかった。
太平洋での日本の戦争は全くの混乱状態だった。学校で簡単に教えるのには向いていない。(アメリカの史学科が日本ではなくドイツに着目することを好むのも、このためではないかと思う。)
#2. 太平洋戦争はヨーロッパにおけるような世界を終わらせる衝突といったものではなかった。中国人の死者の数は、例えば太平天国の乱の方が第2次大戦より多い。日本は遂に中国を征服できなかった。
さらに、よく挙げられる死傷者数(約150万の中国人)にはいささか誤魔化しがある。これは戦争中に死んだ中国人の数であり、日本に殺された中国人の数ではない。例えば戦争の初期の段階では、国民党政府が日本の南京侵攻を遅らせようと中国中部に押し寄せた。(その結果50万人が死んだ。)また国民党にとっては、新兵を募るためにテロや殺人といった手段を取るのも全く普通のことだった。
覚えておく必要があるのは、毛沢東が内戦に勝利したのは偉大な将軍だったからではなく、また「人民」が彼を愛していたからでもない。彼らはただ蒋介石が嫌いだったのだ。死傷者数だけを簡潔に見るならこの動画をチェックしてほしい。かなりちゃんとした内容だ。(数字は常に議論の的になっていることを忘れないように!)
#3. そして、この質問にとって更に重要なこととして、日本の歴史の授業は最悪だということだ・・・オーケー、実際他の国に比べれば非常に良い。例えば日本人は皆、自分たちが文化的にどれだけ中国に負っているかを知っているし、日本における産業化の過程についてもある程度理解している。しかし、カリキュラムにはもっと比較史が含まれているべきだと思う。なぜなら中国人と日本人がどう思おうと、産業時代の彼らの歴史は驚くほど似通っているからだ。どちらも内戦中に外国の干渉を受け、どちらもクレイジーな外国人嫌いの皇帝が戦争を始め、どちらも同じ期間に近代化を狙いとした政府主導の計画を進め、そして実際にどちらもかなりそれに成功した。
比較して見ることはステレオタイプ的な理解を突き抜けることだ。こう問うてみよう:なぜ中国は、日本より多くの兵隊、日本より巨大で優れた船、そして日本より多くのカネがあったのに日清戦争に負けたのか? 「政治改革」という言葉にただの手品以上の意味があるということが分かってくるだろう。
■回答者2(アメリカ)
日本人の大半は戦争中に日本人がしたことをほぼ知らない。今日の日本人が知っているのは、東南アジアの数ヶ国と中国を侵略したこと、そして沢山の人が死んだことだけだ。あとはアメリカ人が戦争の末期に本土を爆撃したこと、戦後は飢えていたということ。
幾ら強調してもし足りないことだが、日本は、戦後の悲惨な状況を、戦中・戦前に起こったことと一切結び付けていない。
お望みならこれを日本の教育や文化のせいにしても良い。大多数の日本人は16世紀の封建領主たちの戦いについてはよく知っているが、東條英機やその他の第2次大戦に責任のあった人たちのことはほぼ何も知らない。
君がここまで注意して読んでくれたなら、次に書く文章の意味も分かるだろう:「20世紀における日本の侵略が正当なものだったと考える日本人はほとんどいない」。
■回答者3
イギリスは植民地を大量に持っていたし、フランス人も、その他誰もが大戦中はそうだった。米国は米西戦争で領土を獲得した。これによる影響の多くは太平洋で起こった。日本は強い国家なら帝国を持って拡大してもいいと思って、そして連合国はそれを阻もうとした。
■回答者4(セルビア)
ソースは何? 私が言えるのは、日本人はヨーロッパの植民地主義者たちへの反抗として、「アジアをアジア人のもとへ」という考えでアジアの征服を始めた ― ただそれは初めだけで、後になるとアジア人にとっては植民地主義者が別の植民地主義者に変わっただけ、アジアの征服者は征服をしただけだった。日本人の全員が侵略という行動に賛成しているわけではない。
翻訳元:Quora
完全肯定派は少ないでしょうね。
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日本ファシズム論争 ---大戦前夜の思想家たち (河出ブックス)
■回答者1
まず言わせてほしいのは、この質問は間違いだ。日本人は侵略が正当だったとは思っていない。実際に歴史を学んだ人が、中国の侵略が始まった時点でそれは「必然」だったと主張することはあるかも知れないが、正当化はしない。反対に、帝国統治時代のことを憤る理由が世界一あるのが日本人だ。(この点を明らかに示すために例を上げると、日本人は軍隊というものに対して非常にネガティブな意見を持っており、帝国陸軍と関連があるという理由で自衛隊の採用は極度に難しくなっている)。さらに、日本人に日本の黄金時代はいつだったかと聞いてみるならば、99%は戦後と答えるだろう。(第2次大戦の始めも終わりも、中国のGDPは日本よりずっと高かった)。日本が中国を史上初めて追い越したのは、1960年代と1970年代だった。
さて、ではなぜ第2次大戦中の犯罪について日本人は知らないのか。これは日本だけの問題ではなく、世界のほとんどは太平洋戦域で行われた犯罪について実に無知だということを付け加えなければならない。これについて理由を3つ上げよう。
#1. 思うに最も重要な理由は日本のファシズムの複雑さだ。日本が犯した全ての犯罪の責任を負わせるリーダーというものが不在だったし、中国を侵略し米国を攻撃するに当たっての単一のイデオロギーさえもなかった。それは最も単純な形での、勝利というカルトだった。全ては勝利により正当化される。
この点の背景として、裕仁天皇は決してアドルフ・ヒトラーと比較できるような人物ではなかった。彼は国際社会の介入を恐れて日本の満州併合に反対していた。(天皇の命令に従って行動した犬養毅首相はこのため暗殺され、これが戦前最後の文民政権となった。)とは言え国際法に基づき、彼はその名の下に行われた全ての犯罪の責任を負うべきだが。
もう一人有名なのは東條だが、彼は戦争の最後の3年間の首相であったに過ぎず、しかも最後の2年は非常に小さな力しか持たなかった。
太平洋での日本の戦争は全くの混乱状態だった。学校で簡単に教えるのには向いていない。(アメリカの史学科が日本ではなくドイツに着目することを好むのも、このためではないかと思う。)
#2. 太平洋戦争はヨーロッパにおけるような世界を終わらせる衝突といったものではなかった。中国人の死者の数は、例えば太平天国の乱の方が第2次大戦より多い。日本は遂に中国を征服できなかった。
さらに、よく挙げられる死傷者数(約150万の中国人)にはいささか誤魔化しがある。これは戦争中に死んだ中国人の数であり、日本に殺された中国人の数ではない。例えば戦争の初期の段階では、国民党政府が日本の南京侵攻を遅らせようと中国中部に押し寄せた。(その結果50万人が死んだ。)また国民党にとっては、新兵を募るためにテロや殺人といった手段を取るのも全く普通のことだった。
覚えておく必要があるのは、毛沢東が内戦に勝利したのは偉大な将軍だったからではなく、また「人民」が彼を愛していたからでもない。彼らはただ蒋介石が嫌いだったのだ。死傷者数だけを簡潔に見るならこの動画をチェックしてほしい。かなりちゃんとした内容だ。(数字は常に議論の的になっていることを忘れないように!)
#3. そして、この質問にとって更に重要なこととして、日本の歴史の授業は最悪だということだ・・・オーケー、実際他の国に比べれば非常に良い。例えば日本人は皆、自分たちが文化的にどれだけ中国に負っているかを知っているし、日本における産業化の過程についてもある程度理解している。しかし、カリキュラムにはもっと比較史が含まれているべきだと思う。なぜなら中国人と日本人がどう思おうと、産業時代の彼らの歴史は驚くほど似通っているからだ。どちらも内戦中に外国の干渉を受け、どちらもクレイジーな外国人嫌いの皇帝が戦争を始め、どちらも同じ期間に近代化を狙いとした政府主導の計画を進め、そして実際にどちらもかなりそれに成功した。
比較して見ることはステレオタイプ的な理解を突き抜けることだ。こう問うてみよう:なぜ中国は、日本より多くの兵隊、日本より巨大で優れた船、そして日本より多くのカネがあったのに日清戦争に負けたのか? 「政治改革」という言葉にただの手品以上の意味があるということが分かってくるだろう。
■回答者2(アメリカ)
日本人の大半は戦争中に日本人がしたことをほぼ知らない。今日の日本人が知っているのは、東南アジアの数ヶ国と中国を侵略したこと、そして沢山の人が死んだことだけだ。あとはアメリカ人が戦争の末期に本土を爆撃したこと、戦後は飢えていたということ。
幾ら強調してもし足りないことだが、日本は、戦後の悲惨な状況を、戦中・戦前に起こったことと一切結び付けていない。
お望みならこれを日本の教育や文化のせいにしても良い。大多数の日本人は16世紀の封建領主たちの戦いについてはよく知っているが、東條英機やその他の第2次大戦に責任のあった人たちのことはほぼ何も知らない。
君がここまで注意して読んでくれたなら、次に書く文章の意味も分かるだろう:「20世紀における日本の侵略が正当なものだったと考える日本人はほとんどいない」。
■回答者3
イギリスは植民地を大量に持っていたし、フランス人も、その他誰もが大戦中はそうだった。米国は米西戦争で領土を獲得した。これによる影響の多くは太平洋で起こった。日本は強い国家なら帝国を持って拡大してもいいと思って、そして連合国はそれを阻もうとした。
■回答者4(セルビア)
ソースは何? 私が言えるのは、日本人はヨーロッパの植民地主義者たちへの反抗として、「アジアをアジア人のもとへ」という考えでアジアの征服を始めた ― ただそれは初めだけで、後になるとアジア人にとっては植民地主義者が別の植民地主義者に変わっただけ、アジアの征服者は征服をしただけだった。日本人の全員が侵略という行動に賛成しているわけではない。
↑コメント(アメリカ)
興味深いものが見たかったら、靖国にある右寄りの歴史博物館(※遊就館)を訪れるといい。第2次大戦の物語を、例えば日本はイギリス人と戦ってアジアを「解放」したといった右翼の視点から語っている。当時の人たちはそう言っていたんだ。エジプトには、日本がイギリス人と戦ったことを祝って男の子がヒデキと名付けられた世代があるそうだ。もちろんこれは完全に一面的な見方だけど、それを見に行くのは興味深いことだ。僕は神社自体には入らなかった、あの場所の精神は気に入ったけどね。
(最高に楽しもうと思ったら8月15日に靖国を訪れるといい。実に多彩な人々が見られる。)関連記事:
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↑回答者4
興味深いわ・・・羅生門みたいに・・・一つの物語に複数の視点があるのね。
翻訳元:Quora
完全肯定派は少ないでしょうね。
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